板金プレス加工について


板金プレス加工は金属を板にした板金と呼ばれる素材を使い、プレス機を用いて製品を製造することからこのような名前がつけられています。主に使用される板金として、鉄、ステンレス、真鍮、銅、チタンなどがあります。板を目的の形に沿って金型で変形させる加工法のため、あまり特定の材料に縛られることがなく様々な素材が使えることが大きな利点の1つとなります。また、基本的に生産性が高いため、自動車や電子機器、建材など身の回りで大量に消費される製品の多くに、板金プレス加工が利用されています。

プレス機械について

DSC_0676.jpg中央が門型の鍛造プレス機、右がCフレームのプレス機プレス機械とは、金型の取付可能なスライドと呼ばれる箇所が機械の中央にあり、取り付けられた金型を上下に動かして板材を挟み込み、金型に沿った形に変形させる機械です。プレス機自体は、基本的にスライドが上下運動しかしませんが、製品の形状によっては金型のしくみによって力の方向を変換したり、工程を複数回行うことによって複雑な形状を作ることもできます。プレス機の形も、スライドが広く使えるCフレームと呼ばれるものと、大きな力が必要なプレス機や精密な製品向けに使用される、門型とよばれるフレームが左右の側面が閉じられた形状のもの、プレスブレーキと呼ばれる長尺物の曲げ加工に向いたものがあります。スライドの上下作動には、油に圧力をかけて、その圧力を動力源とする油圧プレスと、モーターの回転運動をクランクに伝えて動力源とする、機械式プレスがあります。それぞれ利点と特性がありますので、製品や金型にあわせて使用します。圧力は小さなもので数トンから、自動車産業などで利用される数千トンクラスのものまであります。製品の大きさ、板圧、金型、加工法によって必要な圧力が変わります。

金型について

金型とは、金属や樹脂を原料に製品の形にあわせて製造するための型です。精密な加工が必要のため、製造には時間と費用が多くかかり、会社の大切な資産となります。素材や製品形状、製造方法によって金型にも様々な種類がありますが、こちらの説明ではプレス機械を使って製品を作るプレス金型を「金型」と呼びます。金型には、加工する金属よりも硬く強靭な特殊な金属を使用します。特殊な素材を使うことにより、強い圧力で素材と接触しても金型自体にキズがつかず、何万回、何十万回とプレスしても変形が無く、適切に製品の形状を作ることができます。特殊な金属といっても主成分はほとんど鉄で、そちらに数パーセントの炭素やモリブデン、クロム、タングステンを微量混入させることで、焼き入れによって非常に硬く強靭な素材となります。主にプレス加工では、合金工具鋼と呼ばれるSKD11が主流で使用されているようです。弊社でも主にプレス用金型はSKD11を使用します。基本的には対象素材より金型に使用する金属が硬ければ、その金型を使ってプレスすることができます。様々な種類の金型用金属素材がありますが、その金型がどれだけ使用頻度があるのか、コスト的にどの程度までかけることができるのか、どのような加工をする金型になるのか、によって使用される金属が変わってきます。また、1ロットあたりにおける生産量によっては順送型と呼ばれる、複数の工程を一挙に行える金型によって、1日に数万から数十万単位での生産も可能な金型があります。ただし、精密で大きな金型になるので必然的に金型費用が高くなることになります。


加工について

プレス加工には大きく分けて3種類の加工法があります。それぞれ、塑性と呼ばれる一定の力を加えたときに永久に変形する金属の性質を利用した加工法で、せん断加工、曲げ加工、絞り加工と呼ばれています。せん断加工とは、目的の形状にあわせて金属を切断する加工のことを指し、穴あけしたダイと呼ばれる下型と、目的の形状と同じ断面をもつパンチと呼ばれる上型を使い、ダイにパンチを強制的に押し込み、金属をせん断する加工法です。曲げ加工とは、V字またはU字の凹み断面を持つ金型(ダイ)に、おなじくV字またはU時の凸の断面を持つ金型(パンチ)で、金属板をV字またはU時方に曲げる加工法です。板だけではなくパイプや棒も同じように曲げることができます。絞り加工とは、液体を貯めることができるようなコップ状の形状を作る加工法で、金属板を金型でせん断しない程度に強制的に押し込み、形状を作る加工法です。金属の持つ特性によって、板自体が切れたりするので、金型製作や加工の成否が勘や経験に大きく裏打ちされる加工法です。下の画像はステンレスを1工程ごとに絞り加工を行い、深絞り加工を行ったものです。1画像の各工程ごとに1つずつの金型があります。
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まとめ

加工法、金型、プレス機械について、以上がざっくりとした説明となります。表面だけの簡単な説明に留まりましたが、それぞれに専門の書籍も多数あり、1つ1つに奥深い材料学、金属工学、機械工学、生産工学の学問の難しい世界がありますので、詳しく学びたい方は専門書やしかるべきところでの勉強が必要です。通常、製品になるまでには多数の作業や工程を経て製品となりますが、その製品は多くの工程と、工程と同じ数の金型を使い作られています。よって1つの完成品を作るのに数十から数百、場合によっては数千の金型が必要になることもあります。多数の金型と、普段目でみることのない特殊な機械と、それを創って使う職人たちの手によってものづくりが支えられています。